1. HOME
  2. ブログ
  3. 会社の法則・ルール
  4. 今さら聞けない決算書の見方|良好な企業と不安を感じる企業の特徴とは?

今さら聞けない決算書の見方|良好な企業と不安を感じる企業の特徴とは?

2024/02/14会社の法則・ルール

「会社の売上や収支のバランスは分かるけど、決算書の見方はそこまで分からない」

「経営のバランスを良好にする決算書の見方を知りたい」

 

このように、決算書の見方について自信が無かったり知識を深めたいと考えたりする会社経営者、会社役員の方も多いのではないでしょうか?

 

健全な経営を維持するためには、決算書を正確に読み取ってそれを自身の経営に活かす能力を身につけることが大切です。そこで今回は、基本的な決算書の見方や企業の良し悪しを判断する方法、決算書の内容を実務に活かす方法をお伝えします。

そもそも決算書とは?

決算書とは、一定の期間(通常は1年)にわたる企業の財務状況を示す公式文書のことを指します。「財務諸表」や「計算書類」と呼ばれることもあり、企業の仕入れや販売の状況や資金調達、投資など、経営に関するあらゆる経済活動を一定の期間で区切り文書にすることで、資金の流れを客観的に把握することができます。

 

具体的には、決算書から企業の利益や損失、売上の状況、保有資産の規模、負債の額といった財務状況を数値で読み取ることが可能。決算書の中には、損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書(上場企業の場合)といった文書が含まれており、税務申告や銀行からの融資審査、投資家への情報提供(IR)など、さまざまな場面で必要な書類だと言えます。

初心者でも簡単!決算書の見方

企業の財務状況を正確に理解するには、適切な決算書の見方を身につけることが大切です。

 

上述したように、決算書には損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書などが含まれます。まずはこれら3つを正しく読み取れるような見方を知り、自社の現状を把握することから始めましょう。

損益計算書の見方

損益計算書(PL、Profit and Lossの略)は、特定の期間(通常は1年)における企業の財務成果を示す文書。この文書を見ることで、企業が得た収益と発生した費用を比較して、その結果どれくらいの利益が残ったかを把握できます。

 

また、損益計算書には次の5つの種類の利益が計算され、示されています。

 

・売上総利益

・営業利益

・経常利益

・税引前当期純利益

・当期純利益

 

以下では、これらの利益がどのように求められているか、詳しく説明します。

売上総利益

売上総利益とは、売上高から売上原価を引いて求められる金額です。事業によって得られた大まかな利益を示すため「粗利益」とも言われており、次の計算式で求められています。

 

売上総利益=売上高-売上原価

 

売上原価には、商品を仕入れるための費用や商品を製造する際のコストなどが含まれます。売上原価が小さければ売上総利益は大きくなるため、財務状況を把握する上で基本的な項目だと言えます。

営業利益

営業利益とは、企業が主要な事業活動から得た利益を示すもので、次の計算式で求められます。

 

営業利益=売上高-売上原価-(販売費+一般管理費)

 

この計算式に含まれる販売費には、広告費や商品の発送料といった販売活動に要した費用などが含まれます。また、一般管理費には従業員の給与やオフィスの家賃、消耗品費や交際費などが含まれています。

 

営業利益を見ることで、企業がどれくらいの資本でいくら利益を生み出しているかを把握することが可能です。

経常利益

経常利益は、企業が日常的な事業活動から得る利益を示します。「経常」という言葉の通り、先述した営業利益とは違い、主業務から得られる営業利益に主業務以外から得られる「営業外収益」を加え、その後で「営業外費用」を差し引いて求められます。

 

経常利益の計算式は次のようになります。

 

経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

 

この計算式に含まれる営業外収益には、預金から得られる利息や株式の売却で得られる配当金などが含まれます。一方、営業外費用には、借入している銀行に支払う利息や社債の発行に伴う利息などが含まれます。

 

ただし、経常利益には、固定資産の売却や災害による損失など、一時的に発生する利益や損失は含まれません。

税引前当期純利益

税引前当期純利益は、企業が1会計期間で得たほぼすべての利益と損失を反映した数値です。上述した経常利益に特別利益を加え、さらに特別損失を差し引くことで求められ、計算式で表すと次のようになります。

 

税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失

 

税引前当期純利益は、その名の通り法人税や住民税、事業税を支払う前の利益を表します。そのため、税金を除いたすべての費用を引いた後の利益が明確になり、企業活動を通じて得たほぼ最終的な利益に近い数値が分かるようになります。

当期純利益

損益計算書の当期純利益とは、1会計期間における最終的な利益を示すものです。その期間に発生したすべての収入から、事業運営に必要なすべての費用を引いた後の金額となり、計算式で表すと次のようになります。

 

当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失-(法人税+住民税及び事業税)

当期純利益は、「純利益」と呼ばれることもあります。この値がプラスであれば、その会計期間は黒字であると言えます。逆に、当期純利益がマイナスであれば、それは「当期純損失」と呼ばれ、その会計期間が赤字であったと言えます。

 

貸借対照表の見方

貸借対照表は、決算書の中で企業の財務状況を表として可視化したものです。この表は企業の財務状況が左右に分けて表示されているのが特徴で、左側に「資産」、右側に「負債」と「純資産」が記載されています。

 

左側の「資産」部分には、企業が所有する資産がリストアップされています。ここには、現金や在庫、建物や土地、無形資産などが含まれており、通常は流動性の高いもの(現金など)から低いもの(土地などの固定資産)へと順に並べられます。

 

また、右側は上が「負債」で、下が「純資産」となっています。「負債」の部分には、買掛金や借入金など、左側の資産がどのように調達されたかが記載されています。一方、「純資産」の部分は、資産から負債を引いた差額分が記載されており、資産全体のうち企業が持つ資産がどれくらいあるかが分かり、経営の安定性や企業の余力を判断する材料になります。

キャッシュフロー計算書の見方

キャッシュフロー計算書とは、企業の資金流動を詳細に追跡するための文書です。この文書を見ることで、企業が主要な事業からどれだけの利益を得て現金を生成しているか、投資にどれだけの現金を使っているか、また、銀行からの借入金や返済などの財務活動による現金の流れがどのようになっているかを把握できます。

また、キャッシュフロー計算書では、現金の増減を営業活動、投資活動、財務活動の3つに分けて、現金が増減する原因を分析できるのも特徴。企業が直面する経営課題や問題点を特定するために利用できるので、経営改善のための戦略を考えるための重要な情報だと言えるでしょう。

一目で分かる!企業の良し悪しを判断する決算書の見方

ここまでは、決算書に含まれる3つの財務諸表について説明しました。決算書がどのような構成で成り立っているか、各要素についてどのような見方をすれば良いかを知ることで、企業の経営状態を的確に把握できるようになります。

 

以下では、良好な企業と不安を感じる企業の決算書の見方について解説します。

良好な企業の決算書

成績が良好な企業の場合、売上や利益が増える傾向にあります。そのため、まず損益計算書を見て、次の2つのポイントをチェックしてみましょう。

 

・営業利益率が上昇している

・売上総利益率が上昇している

 

原材料費が高騰しても、それを販売価格にうまく反映できていれば、営業利益率や売上総利益率は保たれるか、あるいは上昇することが多いです。

 

ほかにも、成長が見込まれる優良企業の決算書の場合、貸借対照表において次のような特徴があります。

 

・固定資産が年々増加している

・固定資産が増えても流動資産が減少していない

・純資産が過去の年度と比較して増加傾向にある

 

こうした決算書の見方ができる企業は、将来を見据えて積極的な投資を行い、その結果として固定資産が増加することが多いです。また、投資をした後も資金をうまく調達できており、流動資産の大幅な悪化が見られない傾向があります。利益を確実に得ているため、純資産が着実に増えている様子も伺えます。

不安を感じる企業の決算書

一方、業績が不安定な企業の決算書の場合、次のような特徴が見られます。

 

・買掛金や未払金が急激に増加している

・人件費に対する法定福利費の割合が著しく低い

 

買掛金や未払金が急増している場合、各種支払いが遅延している可能性があります。また、人件費に対する法定福利費の割合が著しく低い場合は、社会保険料の未納が疑われます。

 

ほかにも、売上総利益率が下がっている場合は、コストがかかりすぎているか、売上単価が下がっている可能性があります。人件費が急に減少している場合は、業績の悪化に伴いリストラが行われている可能性も考えられます。資産が売却されていると、将来的に収益源が減少し、十分な売上を確保できなくなることもあり得ます。

決算書の見方を知って自社の状況から分析してみよう

ここでは、基本的な決算書の見方や、決算書から良好な企業と不安を感じる企業を判断するポイントを解説しました。決算書の中にはたくさんの項目が並んでおり、慣れていないと抵抗を感じるかもしれません。

 

しかし、どのような点に注意して決算書を見れば良いかを知っておけば、企業の経営状況をより性格に判断できるようになります。自社の決算書を見て経営状況を分析できれば、より良い経営ができるようになるでしょう。

 

宜しければ、こちらの記事もご覧ください。

銀行からの資金調達で重要な、決算書の見方のポイント