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法人の廃業手続きと注意点を詳しく解説!失敗しないためのポイントとは

2025/04/04店・会社・事業の『売却』及び『廃業』

はじめに

企業活動には必ず終わりが訪れます。法人の廃業は、企業にとって大きな決断であり、経営者は慎重に手続きを進める必要があります。本記事では、法人の廃業手続きと注意点について詳しく解説します。

廃業の理由と検討時期

企業が廃業を選択する理由は様々です。後継者不足、先行き不安、赤字や債務超過、支払い不能などが主な要因となります。廃業の検討時期としては、債務超過に陥った場合、経営者が高齢化した場合、運転資金が尽きた場合などが挙げられます。

後継者不足

後継者不足は、廃業の大きな理由の一つです。経営者の高齢化に伴い、次の経営を担う人材が不在となり、事業の継続が困難になる場合があります。こうした状況では、廃業かM&Aによる事業譲渡を検討する必要があります。

事業承継に関しては専門家に相談するのが賢明です。後継者不在の状況でも、M&Aによって企業の存続が可能な場合があります。時期を逸することなく、早期から対策を検討することが重要です。

事業不振と債務超過

事業不振による経営悪化は、廃業の大きな要因になります。営業赤字の継続や債務超過に陥ると、支払い不能に陥る可能性があります。このような場合は迅速に廃業を検討し、債権者保護の観点からも適切な手続きを進める必要があります。

債務超過に陥った時点で廃業を決断するのが一般的です。債務超過からの再建は非常に困難であり、無理な継続は債権者や従業員への影響が大きくなるためです。状況を冷静に判断し、早期の廃業を検討することが賢明です。

経営者の引退など

経営者の高齢化や引退、転職なども、廃業の理由となり得ます。後継者不在に加えて、経営者自身が事業継続を望まない場合は、廃業を選択せざるを得ません。

こうした場合でも、安易に廃業を決めるのではなく、M&Aによる事業承継の可能性を検討するべきです。企業価値を最大化し、従業員や取引先への影響を最小限に抑えるためです。専門家に相談しながら、最善の選択を検討しましょう。

法人廃業の手続き

法人の廃業には、株主総会での決議、登記、債権者保護手続き、資産処分、残余財産分配など、様々な手続きが必要です。各手続きを確実に行わないと、将来的にトラブルのリスクが高まります。

株主総会での決議

法人の廃業手続きの第一歩は、株主総会での解散決議です。定款に従い、株主の3分の2以上の賛成、または全員の書面決議によって、会社の解散を決める必要があります。この際、清算人の選任も同時に行います。

清算人は会社の残余財産を処分し、債権者への支払いや株主への残余財産分配を行う重要な役割を担います。適切な人材を選任することが重要です。弁護士や公認会計士、税理士など、専門家を清算人に選任することをおすすめします。

解散登記と清算人選任登記

次に、法務局で解散登記と清算人選任登記を行います。この登記により、会社の解散と清算人が正式に決定します。登記は2週間以内に行わなければなりません。

登記を怠ると、会社が実質的に解散していても、法的には存続しているものと見なされます。このため、債権者保護手続きが適切に行えず、将来的な法的トラブルにつながる可能性があります。期限内の確実な登記が重要です。

債権者保護手続き

解散登記後は、債権者保護手続きを行う必要があります。まず、官報に解散公告を掲載し、既知の債権者には個別に通知を行います。この手続きを経て、債権者が一定期間内に債権の申し立てを行えるようにします。

債権者保護手続きを怠ると、将来的に債権者から訴えられるリスクがあります。このため、手続きを確実に行うとともに、記録を残しておくことが重要です。弁護士や司法書士などの専門家に相談し、適切に対応することをおすすめします。

財産目録・貸借対照表の作成

清算人は、会社の財産状況を把握するため、財産目録と貸借対照表を作成します。これらの書類は、株主総会で承認を受ける必要があります。

財産目録や貸借対照表の作成は専門性が高いため、税理士や公認会計士に依頼することをおすすめします。正確な評価と記載が重要であり、不備があると株主や債権者からクレームが発生する可能性があります。

資産の換価と債務の弁済

財産状況を把握した後は、資産の換価と債務の弁済を行います。保有する不動産や設備、在庫などを適正な価格で売却し、得られた資金で債務を支払っていきます。

資産の換価は専門的な知識が必要となります。不動産や設備の適正価格を見誤ると、将来的な損害賠償請求のリスクがあります。また、債務の弁済順位にも注意が必要です。弁護士や不動産業者などの専門家に相談しながら進めることが賢明です。

残余財産の分配

債務の弁済が完了すれば、残余財産を株主に分配します。分配比率は定款や株主総会の決議に従って決定されます。

残余財産の分配をめぐってトラブルが発生することもあります。分配が不透明だと株主間で対立が生じる可能性があるためです。このため、清算人は分配の経緯や根拠を明確にしておく必要があります。

清算結了の登記と確定申告

残余財産の分配が完了すれば、清算結了の登記と確定申告を行います。法務局への清算結了登記により、会社の法人格が消滅します。また、税務署への確定申告により、会社に係る税務手続きが完了します。

清算結了の登記と確定申告を怠ると、無申告加算税などのペナルティが課される可能性があります。手続きを確実に行い、記録を残しておくことが重要です。

専門家の活用

法人の廃業手続きには多くの専門性が求められます。このため、弁護士や公認会計士、税理士、司法書士など、様々な専門家の協力を得ることが賢明です。

弁護士

弁護士は、法的な側面から廃業手続きをサポートします。株主総会の手続きや債権者保護手続き、資産処分などにおいて、法的なリスクを回避する助言を行います。また、トラブル発生時の法的対応にも尽力します。

特に債務超過の場合は、破産手続きも視野に入れる必要があります。この場合、弁護士に破産管財人の選任や債権者集会の運営を依頼することになります。法的リスクを最小限に抑えるため、廃業の初期段階から弁護士に相談することが賢明です。

公認会計士・税理士

公認会計士や税理士は、財務や税務の側面から廃業手続きをサポートします。財産目録や貸借対照表の作成、残余財産の評価、確定申告など、専門的な業務を担当します。

不適切な財務処理や申告漏れは、将来的な課税リスクにつながります。このため、公認会計士や税理士に適切な手続きを依頼することが重要です。顧問契約を結んでいる場合は、廃業に伴う手続きについても相談しましょう。

司法書士

司法書士は、登記手続きを中心に廃業をサポートします。解散登記や清算結了登記など、法務局に対する手続きを確実に行います。

登記手続きの遅れは、廃業全体の遅れにつながります。このため、経験豊富な司法書士に依頼し、スムーズな手続きを心がけることが重要です。

廃業に伴う影響と対策

法人の廃業は、従業員や取引先、債権者など、様々なステークホルダーに影響を及ぼします。適切な影響度の把握と対策が求められます。

従業員への影響と対策

廃業により、従業員は雇用と収入を失うことになります。このため、廃業の決定次第、従業員へ速やかに通知し、今後の就職支援などの対策を講じる必要があります。

退職金の支払いも重要な課題です。財務状況に応じて、一時金の支払いや分割払いなど、従業員への影響を最小限に抑える工夫が求められます。労働基準監督署への相談も有効な手段の一つです。

取引先への影響と対策

取引先にも廃業の影響が及びます。発注残や債権債務の整理、代替業者の確保など、取引先の対応が必要になります。このため、廃業の決定次第、取引先へ速やかに連絡することが重要です。

取引先との信頼関係を損なわないよう、丁寧な対応に心がけましょう。債権債務の整理の際は、弁護士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

債権者への影響と対策

廃業により、債権者の利益が損なわれる可能性があります。このため、債権者保護手続きを確実に行う必要があります。

債権者への個別通知や公告を行い、債権の申立期間を設けることが義務付けられています。債権者からの申立てを踏まえ、適切な債務の弁済を行わなければなりません。手続きを怠ると、将来的な訴訟リスクが高まります。

まとめ

法人の廃業手続きは複雑で、様々な注意点があります。しかし、適切な手順を踏めば、トラブルを最小限に抑えることができます。経営者は、廃業の理由と時期を冷静に判断し、専門家の助言を得ながら手続きを進めることが重要です。

廃業により影響を受けるステークホルダーも多岐にわたります。従業員、取引先、債権者への影響を事前に把握し、適切な対策を講じることで、スムーズな廃業が可能になります。

廃業は避けられない選択肢の一つですが、M&Aによる事業譲渡など、別の選択肢もあります。事業の継続を望むのであれば、専門家に相談しながら、最善の道を探ることをおすすめします。

よくある質問

法人の廃業の主な理由は何ですか?

法人の廃業の主な理由には、後継者不足、事業不振による債務超過、経営者の高齢化や引退などが挙げられます。個々の企業の状況に応じて、適切な廃業の検討時期を見極める必要があります。

法人の廃業にはどのような手続きが必要ですか?

法人の廃業には、株主総会での解散決議、登記、債権者保護手続き、財産目録や貸借対照表の作成、資産の換価と債務の弁済、残余財産の分配、清算結了の登記と確定申告など、多くの手続きが必要になります。各手続きを確実に行うことが重要です。

廃業に伴う従業員への影響と対策は何ですか?

従業員は廃業により雇用と収入を失うことになるため、従業員への速やかな通知と就職支援などの対策が必要です。また、退職金の支払いなど、従業員への影響を最小限に抑える工夫が求められます。

専門家の活用はどのように行うべきですか?

法人の廃業手続きには多くの専門性が求められるため、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士など、様々な専門家に相談しながら進めることが賢明です。専門家の助言を得ることで、法的リスクや税務上のリスクを最小限に抑えることができます。